1.在宅医療関連
在宅緩和ケア充実加算の再編
これまでの「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が廃止され、新たに「在宅医療充実体制加算」という名称に変わり、単一建物患者1人あたり800点へと点数が大きく引き上げられました。
この加算は在宅療養支援診療所などが算定する在総管・施設総管に関連するもので、施設基準や点数が見直されています。
特徴的なのは、施設基準に「医師等の教育実績」という項目が加わった点です。
地域包括ケア病棟・地域包括医療病棟
地域包括医療病棟の再編(介護施設との連携強化)
地域包括医療病棟は令和6年度改定で新設された入院料で、高齢者の救急搬送受け入れや誤嚥性肺炎・尿路感染症など中等症までの急性期疾患を担う病棟です。
令和8年度改定では、一律だった入院料が急性期病棟の併設有無で入院料1・2に分かれ、さらに手術・緊急入院の有無で3区分の点数が設定されました。
入院料1の最高点数は3,367点/日で、現行から317点の引き上げです。
新設された「包括期充実体制加算」の施設基準は200床未満(医療資源の少ない地域では280床未満)の病院で、地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟を有し、急性期一般入院基本料の病棟を持たず、在宅医療や介護保険施設の後方支援体制・実績が十分あり、入退院支援加算1を取得していることが要件です。
つまり、在宅・介護施設の受け皿になっている中小病院を評価する仕組みです。
入退院支援・介護連携の強化
厚労省資料によると、包括期入院医療の改定では在宅患者・施設入所者の後方支援や円滑な入退院支援を推進する観点から、包括期充実体制加算の新設、緊急入院時の入院料・初期加算の引き上げ、入退院支援加算1の充実、介護支援等連携指導料2の新設、退院前訪問指導料や退院時共同指導料等の出来高算定可能範囲の拡大、退院直後の訪問栄養食事指導料の新設が行われています。
参考までに2024年度改定では、地域包括ケア病棟入院料を算定する医療機関が入退院支援加算1・2を算定する場合、従来の「連携先25機関以上」という基準に加え、連携先のうち一定数以上は介護保険法上の居宅サービス事業者・居宅介護支援事業者であることが要件化されました。
これは医療機関に介護サービス事業者との連携を制度的に義務付けた形です。
訪問看護ステーション
高齢者向け住まい等に併設される訪問看護の評価が見直され、同一建物居住利用者数と訪問日数に応じたきめ細かな評価体系や、1日あたりの包括評価体系が新設されました。
また、ICTを活用した地域連携の評価も新設されています。
まとめると、2024・2026年度改定は一貫して「病院・在宅医療・介護保険施設」の三者連携を評価する方向に動いており、特に令和8年度改定は高齢者救急の受け入れと介護施設への後方支援機能を評価軸に据えているのが特徴です。
ビジネスケアラー支援サイトの文脈では、この「医療・介護の連携強化」が在宅介護を支える基盤整備として紹介できる材料になりそうです
2.介護保険の在宅サービス拡充
2024年度(令和6年度)定期改定:サービス内容の拡充が中心
改定率は全体で+1.59%(介護職員処遇改善分+0.98%、その他+0.61%)で、処遇改善加算による賃上げ効果や光熱水費の基準費用増額を含めると実質+2.04%程度の引き上げでした。
24の介護サービスが対象となりました。
基本方針の柱の一つが「地域包括ケアシステムの深化・推進」で、認知症の方や単身高齢者、医療ニーズの高い中重度高齢者を含め、住み慣れた地域で質の高いケアマネジメントやサービスを切れ目なく提供できるよう、地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組みを推進することが掲げられました。
主な在宅サービス関連の動きは以下の通りです。
- 医療連携の強化:入院時情報連携加算・通院時情報連携加算の見直し、ターミナルケアマネジメント加算等の見直しが行われ、病院との情報連携を評価する方向が強まりました
- ICT活用の推進:他サービス事業者とのオンラインモニタリング(LINEやZoom等のビデオ通話を活用)による連携促進が要件化されました
- 新複合サービスは見送り:訪問介護と通所介護を組み合わせた複合型の新介護サービス創設は、在宅サービスの課題や介護ニーズの多様化を踏まえて検討されたものの、2024年度は見送りとなり、次回改定でのスタートを目指す方向とされました
- 自立支援・重度化防止:リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的な取り組みやLIFE(科学的介護情報システム)を活用した質の高い介護の推進が図られました
令和8年度(2026年度)改定:処遇改善中心の期中改定
こちらは3年に1度の定期改定(次は本来令和9年度)を待たずに、介護分野の処遇改善を急ぐ目的で前倒し実施された「臨時改定」という位置づけです。
改定率は+2.03%で、政府の総合経済対策に基づき他職種との賃金格差是正と物価高騰対応が主目的です。
在宅サービスに関わる主な変更は次の通りです。
- 処遇改善加算の対象拡大:これまで訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援(ケアマネジメント)には処遇改善加算がありませんでしたが、今回新たに加算が新設されました(訪問看護1.8%、訪問リハ1.5%、居宅介護支援・介護予防支援2.1%)
- 対象者の拡大:加算の対象が「介護職員」から「介護従事者」全体に広がりました
- 生産性向上・協働化への上乗せ:ケアプランデータ連携システムへの加入などデジタル化に取り組む事業者向けに上乗せ区分(Ⅰロ/Ⅱロ)が新設されました
つまり、2024年度は在宅サービスの「連携の仕組み」を拡充する改定、2026年度は在宅サービスを支える人材の「処遇」を拡充する改定という性格の違いがあります。
次の本来改定(令和9年度予定)では、最新の経営実態調査を踏まえたさらなる見直し(物価・賃金上昇の反映、給付の効率化)が検討される予定です。