親の介護が始まると、多くの方が最初に考えるのが「特養(特別養護老人ホーム)に入れるだろうか」ということです。
特養は費用が比較的おさえられ、長く暮らせる施設として人気が高い一方、入所には条件があり、順番待ちも発生しています。
この記事では、特養の入所条件、要介護1・2でも入れる「特例入所」、入所の順番の決まり方、そして早めに申し込むべき理由を、仕事と介護を両立するビジネスケアラーの方に向けてわかりやすく解説します。
特養の入所条件は原則「要介護3以上」
特養に入所できるのは、原則として65歳以上で要介護3以上の認定を受けた方です。
2015年4月の介護保険制度の見直しにより、新たに入所できるのは要介護3以上の方に限られるようになりました。
要介護3は、食事や排せつ、入浴など日常生活のほぼ全般で介助が必要な状態の目安です。
まだ要介護認定を受けていない場合は、まず市区町村の窓口や地域包括支援センターで申請することから始めましょう。
要介護認定の申請については、こちらの記事でくわしく解説しています。
要介護1・2でも入れる「特例入所」とは
要介護1・2の方でも、在宅での生活が難しいやむを得ない事情がある場合は、「特例入所」として入所が認められることがあります。
主なケースは次のとおりです。
- 認知症により、日常生活に支障をきたす症状や行動、意思疎通の難しさが頻繁に見られる
- 知的障害や精神障害などにより、同じように在宅生活が困難な状態にある
- 家族などによる深刻な虐待が疑われ、心身の安全を確保することが難しい
- 一人暮らしである、同居する家族が高齢や病弱であるなどの理由で家族の支援が期待できず、地域の介護サービスも十分に受けられない
特例入所にあたるかどうかは、施設が市区町村の意見も聞きながら判断します。
「要介護2だから無理」とあきらめず、まずはケアマネジャーや施設に相談してみることが大切です。
入所の順番は「申し込み順」ではなく「必要性の高さ」で決まる
特養の入所は、単純な先着順ではありません。
各都道府県が定める入所指針にもとづき、施設ごとの入所検討委員会で、入所の必要性が高い方から優先して決められます。
主な判断のポイント
- 要介護度の高さ
- 認知症の有無や症状の程度
- 介護をしている家族の状況(高齢、病気、仕事との両立が難しいなど)
- 在宅サービスの利用状況や、在宅生活を続けることの難しさ
これらを点数化して評価するのが一般的です。
自治体や施設によっては、待機している期間を評価項目に含めている場合もあります。
早めに申し込むべき理由と、申し込みのコツ
順番は必要性で決まるとはいえ、申し込みをしていなければ検討の対象にもなりません。
人気の施設では待機者が多く、入所まで数か月から数年かかることもあります。
「まだ先のこと」と思っているうちに状況が急に悪化し、慌てて施設を探すことになるケースは少なくありません。
申し込みのコツ
- 複数の施設に同時に申し込む:特養は複数の施設に申し込むことができます。
通いやすさや雰囲気を見ながら、候補をいくつか持っておきましょう。 - 見学をしておく:実際に足を運ぶと、職員の様子や生活環境がよくわかります。
- ケアマネジャーと連携する:家族の状況や在宅介護の大変さを、申込書や面談できちんと伝えることが大切です。
- 状況が変わったら施設に連絡する:要介護度が上がった、介護する家族が体調を崩したなど、状況が変わったときは施設に伝えましょう。
優先度の評価が見直されることがあります。
待っている間の選択肢
特養の空きを待つ間も、介護は続きます。
次のようなサービスや施設を組み合わせて、無理のない体制を整えましょう。
- ショートステイ:数日から数週間、施設に泊まって介護を受けられます。
介護する家族の休息にもなります。 - 介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指してリハビリを行う施設です。
長期の入所を前提としたものではありませんが、特養を待つ間に利用される方も多くいます。 - 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅:費用は特養より高めになることが多いものの、比較的入りやすいのが特徴です。
- グループホーム:認知症の方が少人数で共同生活を送る施設です。
仕事と介護を両立するビジネスケアラーの方へ
親の介護をしながら働くビジネスケアラーにとって、施設探しや申し込みの手続きは大きな負担です。
介護休業(対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割可能)や介護休暇(年5日、時間単位でも取得可能)などの制度を上手に使いながら、一人で抱え込まずに進めることが大切です。
(→ 「介護休暇は時間単位で消化できて便利ですが、無給なので…」の記事)
企業にとっても、従業員の介護離職は大きな損失です。
鎌倉文庫では、介護離職防止研修や、ビジネスケアラーの方向けの1on1相談を行っています。
「何から始めればいいかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
(→ 1on1相談予約ページ/研修予約ページ)
よくある質問
特養の入所まで、どのくらい待ちますか?
地域や施設によって大きく異なります。
すぐに入れる場合もあれば、数年待つ場合もあります。
複数の施設に申し込み、ケアマネジャーに地域の状況を聞いてみるのがおすすめです。
申し込みに費用はかかりますか?
申し込み自体は無料のことがほとんどです。
申込書は各施設や市区町村の窓口で入手できます。
要介護2ですが、申し込みはできますか?
特例入所の対象となる事情があれば、申し込みは可能です。
まずは施設やケアマネジャーに相談してみましょう。
入所の連絡が来たときに断ることはできますか?
断ることはできます。
ただし、その後の扱いは施設によって異なるため、連絡が来たときに確認しておきましょう。
(参考)WAM NET
#介護離職 #介護離職防止 #介護離職防止研修 #ビジネスケアラー
(執筆者)牛越博文(講談社『最新 図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本 (介護ライブラリー)』の監修者)
「うちの親の場合はどうなる?」を30分で整理しませんか
特養の入所は、要介護度だけでなく、ご家族の状況や地域の空き状況、申し込み先の選び方で大きく変わります。
記事を読んでも「結局うちはどうすればいいのか」が分からない方も多いはずです。
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こんな方に
・要介護1・2で、特例入所に当てはまるか知りたい
・申し込み先をどう選び、何か所に出せばいいか迷っている
・待っている間の在宅介護や、ほかの施設との比較を相談したい
・仕事を続けながら、親の介護をどう回すか考えたい
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